禁煙外来

COPDの恐怖

「今日も元気だタバコがうまい」昔のTVコマーシャルです。「私はこれで税金を払ってます」と言った首相もいました。古いスパイ映画をみると、皆タバコを格好よく吸っています。格好よく吸うのがひとつの見せ所にもなっているかのようです。
「タバコは身体に悪い。」これは誰でも知っています。
咽喉頭癌、肺癌をはじめとする多数の各臓器の癌、脳梗塞、心筋梗塞などの動脈硬化性疾患、などなど枚挙に暇がありません。
しかし今回ここでは喫煙に起因する重大な疾患のひとつであるCOPDについてお話したいと思います。

COPD、あまり聞きなれない用語かと思いますが、日本では慢性閉塞性肺疾患といい原因のほとんどは喫煙です。
北海道のように寒い冬期間締め切った部屋では受動喫煙も問題になります。
COPDの中には肺気腫や慢性気管支炎がはいってきますが、タバコの煙により最初内径2mm未満の細い気管支に起こった炎症が肺胞側のより細い方に波及したのが肺気腫のタイプで、中枢側の太い方に波及したのが慢性気管支炎と考えられていますので病態的には同一のものです。

咳、痰、息切れが主な症状ですが、これらの症状に加え、同じ年代の方と一緒に坂道などを歩いた時、息切れがして遅れをとるようならこの病気が疑われます。
私達は空気中の酸素を吸って炭酸ガスを出すことによって生命を維持していますが、通常健康な時には呼吸を意識することはありません。
それは肺胞には弾力性があってゴム風船のようなものだからです。
吸った空気は自然に出て行きます。
一方、肺気腫が強くなると弾力性が失われ肺胞は紙風船のようになるだけでなく、細い気管支が炎症でより細くなり痰も絡んでくるため吸った空気は努力しないと出て行きません。

また肺胞が膨らんでしまった結果、肺胞と肺胞との間の肺胞隔壁が破壊され、肺胞毛細血管膜が減少してしまうためにガス交換がうまくいかず苦しくなってきます。
放置して喫煙を続けると坂道や階段での息切れが更に強くなってきます。
決して歳のせいだ、などと考えないでください。最終的には酸素吸入なしには外出どころか家の中にいても動けなくなってしまいます。
必ず呼吸機能をはじめとする検査を受けてください。
その結果COPDの診断がついても決して落ち込まないでください。
長時間作用型吸入気管支拡張剤や吸入ステロイド剤である程度の回復が見込まれます。
そのためには少しでも軽症の段階で治療を開始することが望まれます。

因みに本邦では40歳以上では530万人がCOPDである、と推測されています。
またWHOによると、COPDの死亡率は増加の一途をたどり2020年にはがん、動脈硬化性疾患に次いで第3位に躍進するだろうと予測されています。