咳について

咳の原因

・気管支や肺の病気の他、のど・鼻、食道、心臓の病気、薬の副作用の可能性もあります。

・発症時期や期間、咳の出方、随伴症状(発熱、痰、息切れなど)、アレルギーや服薬歴などが診断の手がかりとなります。

一般的な特徴

・風邪などの一過性の咳は通常2か月以上続きません。2か月以上続くなら病気が隠れている可能性が高くなります。

・咳で夜寝られないと体力が落ち、咳で肋骨を骨折することもあります。市販の咳止めで咳が止まらずつらい場合は受診をお勧めします。

・息苦しい、胸が痛い、高熱が3日以上続く、血痰、体重減少などがあれば早めの受診をお勧めします。

咳がつづく代表的な疾患

感染症(菌やウイルスによる肺炎・気管支炎)

ウイルス感染による気道感染(上気道炎、気管支炎)が最も多く、ほとんどが数週間以内に咳はおさまりますが、新型コロナウイルス、RSウイルス、マイコプラズマ、百日咳などでは咳がしばしば強く、長引きます。
肺炎を起こすと症状が重くなることが多いです。

・マイコプラズマ感染症

若年(50歳くらいまで)に多く、発熱と乾いた強い咳が出ます。飛沫、あるいは接触により人から人に感染し、潜伏期間は2-3週間です。

・百日咳

百日咳菌による感染症。発熱はあまりありません。発作的な短い咳が続き、息ができないことも。夜に強く、しばしば咳で嘔吐してしまいます。感染力が強いため、周囲に同じような症状がいれば可能性があります。咳は菌自体というより毒素による炎症によるので、咳がひどくなったときには抗生剤が効かないことが多く、PCRによる診断も発症3週間くらいまでで、その後は血液検査による診断です。

・結核

結核菌による感染症。微熱、血痰、体重減少、寝汗などがしばしば見られます。海外渡航歴、免疫力低下がある場合は要注意です。痰から結核菌が出た場合は法律により結核病棟への入院が必要となることがあります。

・その他、様々な菌、ウイルス、カビの感染が咳の原因となります。

慢性気管支炎・肺気腫・COPD

慢性的な咳・痰、息切れがみられます。タバコ煙が主な原因です。

気管支喘息・アレルギー関連疾患

気管支喘息では夕方から明け方にかけて強くなる咳、喘鳴、胸のくるしさ、痰絡みなどがみられます。喘鳴がなく咳だけがみられる「咳喘息」も非常に多い疾患です。

間質性肺炎

さまざまな原因で肺に炎症が持続し、肺が固くなって伸びなくなり、咳や息切れがでてくる病気です。

悪性腫瘍

肺がんが代表的な疾患です。タバコを吸うと、吸わない人の4〜5倍肺がんができやすくなります。のどや気管に腫瘍ができた場合はX線ではわかりにくいことがあります。

胃食道逆流症

胃と食道のしまりが悪いために胃酸が逆流し、胸焼け症状や咳がでます。

うっ血性心不全

心臓のポンプ機能が低下し、肺に水がたまって咳や痰、息切れがでることがあります。

検査

・画像診断:X線やCTで肺に影がないか検査します。

・血液検査:炎症やアレルギーの数値、場合によっては間質性肺炎や心不全の数値、結核や感染症の反応などを検査します。

・呼気NO検査:アレルギー性の気道炎症を判定する喘息や咳喘息の検査です。

・呼吸機能検査:息を吐くスピードや量、肺活量などを検査して、喘息、COPDなどを診断します。

・簡易型ポリソムノグラフィー検査:睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は自宅で行う睡眠検査で無呼吸があるか検査をします。