新型コロナ / インフルエンザの抗原検査・PCR検査について

このページのまとめ

・ インフルエンザ抗原検査は発症数時間~6時間程度で陽性率が高くなる。
・ 新型コロナ抗原検査は発症翌日以降のほうが感度が高い。
・ 新型コロナ感染を発症当日に高精度に診断したい場合はPCR検査を考慮(ただし必要性をよく検討すること)。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

・ 新型コロナウイルス(オミクロン株)の潜伏期間は平均約3日(95%が7日以内、2週間以上はまれ)。
・ 家庭内二次感染率は30–45%。そのうち約半数は発症前に感染を広げている。
・ 迅速診断方法:抗原検査(ウイルスタンパク検出)とPCR(ウイルス核酸検出)。
・ 抗原検査の感度はPCRの60–80%程度。
・ 発症前日の抗原検査陽性率は31%と低い。
・ 発症当日:PCRで約80%、抗原検査で約40%陽性。
・ ウイルス量は発症2–4日目にピーク、その後減少。発症10日以降は感染性ウイルスはほとんど検出されない。
・ 死亡者の約97%が65歳以上の高齢者。
・ 腎疾患(特に透析患者)、心臓病、脳血管疾患(脳梗塞など)、慢性呼吸器疾患(COPDなど)、糖尿病、悪性腫瘍が重症化リスクとなる。

 新型コロナウイルス検査を行うタイミング

・ 抗原検査を行う場合は発症翌日以降が望ましい。

 新型コロナ検査が推奨される方(私見)

・ 65歳以上、糖尿病・COPD・慢性腎疾患など基礎疾患を有し、重症化リスクがある方
・ 基礎疾患を有する方と同居・接触がある場合、または職場等で不特定多数と接する場合

 PCR検査が考慮される場合(私見)

・ ウイルス性肺炎や間質性肺炎が疑われる場合(低酸素、両側肺炎、すりガラス陰影など)
・ 入院が必要な全身状態(呼吸困難、脱水、強い倦怠感など)
・ 免疫抑制状態など、新型コロナ感染があれば速やかな抗ウイルス治療が必要な場合

インフルエンザ

・ ウイルス排出量は発症1–2日で上昇、2–3日経過後に減少。
・ 成人患者のデータ:リアルタイムPCRとの比較で抗原検査の感度97.1%、特異度89.2%。
  ➤ 発症48時間以内:感度97.9%、特異度90.4%。
  ➤ 発症12時間以内:感度100%、特異度97.8%。
・ 抗原検査の陽性率は発症6時間未満でも90%以上、6時間以降で最大に達し、24〜36時間経過するとやや低下したという報告もある。

インフルエンザ抗原検査を行うタイミング

・ 発症数時間〜6時間程度たてば抗原検査の陽性率は高くなる。

参考文献

・ 厚生労働省資料(オミクロン株感染における感染、発病、感染性のある期間等に関する文献資料)
・ 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト
・ Marquez C, et al. JAMA Netw Open 2022.
・ Chu VT, et al. JAMA Intern Med 2022.
・ Seki Y, et al. PLoS One 2020.
・ Mikamo H, et al. PLoS One 2022.
・ 高橋和郎ら. Sysmex J Web 2006.